たてフロ ~たてものフロンティア ブログ~
建築ブログ
アートとしての岡本太郎美術館
川崎市には自然の宝庫である生田緑地があります。その緑地を奥まで歩いて行くと岡本太郎美術館が建っているのが見えてきます。
美術館まで行く途中、日本民家園やプラネタリウムの施設、遊び広場や池などがあり、川崎市多摩区の観光スポットとなっています。

岡本太郎美術館_外観_階段下

以前に、岡本太郎の太陽の塔にまつわる壮絶でべらぼうなエピソードについて記事にしました。

芸術を爆発させていた岡本太郎。有名建築家の怒りも爆発させていた - たてフロ~たてものフロンティア ブログ~

今回は岡本太郎の世界観に浸れ、自然豊かな場所に建つ、岡本太郎美術館の建築について書いていきます。



自然と調和した施設


岡本太郎美術館は、川崎市出身である岡本太郎から寄贈された作品を展示しています。

この美術館のコンセプトは自然と融合した美術館

ほとんどの施設が地下に埋まっており、地上は公園スペースやカフェテリア、湧水を利用した池や滝など、美術館の機能だけでなく、生田緑地の自然を取り入れ、川崎市民の憩いの場となっています。

岡本太郎美術館_外観_入口

石段を上がったところに、階段状のふんだんに緑化された建物に入口があります。これは洞窟に入るイメージで設計されており、この入口から入ると、天上のドームから光が差し込むエントランスホールとなっています。

岡本太郎美術館_エントランス

エントランスの中央の作品のある辺り、床の青いタイルは、緑地に湧き上がる水をイメージしています。
このエントランスから常設展示室、ガイダンスホール、企画展示室へとつながっています。

ちなみに、エントランスホールの天上部分を外から見るとこんな感じ。

岡本太郎美術館_エントランス_上部

ここから自然光を中へ取り入れています。

岡本太郎らしさが出ている自由な展示室


岡本太郎美術館_平面図
<引用:川崎市岡本太郎美術館 | Copyright c TARO OKAMOTO MUSEUM of ART,KAWASAKI>

常設展示室(1,026㎡)
岡本太郎美術館_常設展示室
<引用:川崎市岡本太郎美術館 | Copyright c TARO OKAMOTO MUSEUM of ART,KAWASAKI>

常設展示室は、床の高さを変えているスキップフロアの構成となっており、壁で仕切るだけでなく床の高さを変えることによって様々な空間に区別されています。その空間とは、

絵画作品や映像を展示している絵画空間
岡本太郎の家族、歴史などを紹介している空間
作品に実際に触れる事の出来る空間
照明効果とスロープによって作品を魅せる空間
作品そのものによって部屋を作っている空間

展示室には順路がなく、各空間を迷路のようにつないでおり、来館者は迷宮のような空間を歩きながら、岡本太郎の世界を旅することとなります。
この自由な感じが岡本太郎らしさを出していますね。

企画展示室(828㎡)
岡本太郎美術館_企画展示室
<引用:川崎市岡本太郎美術館 | Copyright c TARO OKAMOTO MUSEUM of ART,KAWASAKI>

企画展示室は、中央に外光を取り入れるための光の庭が設置されており、企画によっては光の庭にメインの作品が展示される事があります。
また展示室内は可動壁によって、展示空間を区画分けして広さを調整することが出来ます。

美術館にある一部の展示作品を紹介


坐ることを拒否する椅子
岡本太郎美術館_坐ることを拒否する椅子

常設展示室には「坐ることを拒否する椅子」が展示されており、展示室内はこの作品が置いてある空間のみ撮影が可能です。
見た目の通り、実際に坐ると痛いですね。


岡本太郎美術館_女
企画展示室を出ると、ミュージアムショップの向かいに光の庭があり、通路を明るく照らしています。この光の庭の中には「女」という作品が展示されています。女性のような柔らかい雰囲気が出ていますね。

樹霊
岡本太郎美術館_樹霊
入口の向かい、カフェテリアの隣の池に、バッファローのような「樹霊」があります。この穴から何かが出てきそうな不気味な作品です。

母の塔
岡本太郎美術館_母の塔+公園スペース
公園スペースには「母の塔」という高さ30mの巨大な作品が仁王立ちしています。白くなめらかなフォルムの上に、16体もの像が子供がはしゃいているイメージで立っています。

岡本太郎美術館_母の塔

上に立っている像、どこかで見たことあるなと思ったらこれですね。

特定保健用食品(トクホ)マーク

母の塔の外装は、セメントにガラス繊維を複合させたGRCパネルで作られており、そこに「タローホワイト」と名付けられた色のクラッシュタイルを張っています。

この塔の工事は、地上にて先端部分から順に作品を作り、先端部分を押し上げて次の部分の制作に入る、いわゆるジャッキアップ工法によって作られました。制作方法もダイナミックだったわけです。

ミュージアムショップ・TAROカフェ


ミュージアムショップ
岡本太郎美術館_ミュージアムショップ
<引用:川崎市岡本太郎美術館 | Copyright c TARO OKAMOTO MUSEUM of ART,KAWASAKI>

企画展示室を出たところにミュージアムショップがあります、ここでは以下の様々な岡本太郎グッズが取り揃えられています。





カフェテリア
岡本太郎美術館_カフェテリア
入口の向かいにはカフェテリアがあり、内部からは大きなガラス越しに生田緑地や池を眺めながら食事を楽しめます。晴れた日はテラス席で食事をするのも気持ちいいですね。

建築概要


所在地 : 神奈川県川崎市多摩区枡形7-1-5
開館 : 1999年(平成11年)10月30日
建物用途 : 美術館
敷地面積 : 9,468㎡
建築面積 : 2,808㎡
延床面積 : 4,993㎡
規模 : 地上1階、地下1階
構造 : 鉄筋コンクリート造
工事工期 : 1996年(平成8年)11月20日 ~ 1999年(平成11年)7月30日
施主 : 川崎市
建築設計 : 川崎市町づくり局、(株)久米設計
設備設計 : 設備/川崎市町づくり局、(株)久米設計 展示・母の塔/(株)現代芸術研究所
施工建築 : (建築・母の塔)戸田・北島共同企業体
施工電気 : 京浜・国際共同企業体

ご利用案内


開館時間 : 9:30~17:00(入館は16:30まで)
休館日 : 月曜日(月曜が祝日の場合は開館)
      祝日の翌日(祝日の翌日が土日にあたる場合は開館)
      年末年始、他に臨時休館日あり
料金 : 常設展 一般500(400)円、高校・大学生・65歳以上300(240)円。中学生以下無料。
      ※( )内は20名以上の団体料金
     企画展・常設展 一般1000(800)円、高校・大学生・65歳以上800(640)円。中学生以下無料。
      ※( )内は20名以上の団体料金
     年間定期券(年間パスポート) 一般 1,500円  高大生 1,100円  65歳以上 1,100円
      有効期限1年間。年間定期券は何回でもご観覧可能。
交通:
岡本太郎美術館_地図
<引用:川崎市岡本太郎美術館 http://www.taromuseum.jp | Copyright c TARO OKAMOTO MUSEUM of ART,KAWASAKI>
小田急線 向ヶ丘遊園駅 徒歩17分




いかがでしたでしょうか。
生田緑地の自然に癒されながら、岡本太郎の爆発した芸術の世界を堪能するのもまた良いものです。



参考文献:
川崎市岡本太郎美術館
設計室のRestRoom岡本太郎美術館
川崎市岡本太郎美術館|納入施設例データベース|東芝ライテック(株)
岡本太郎の魅力に惹きつけられる「川崎市岡本太郎美術館」 PANDA Chronicle
生田緑地にある岡本太郎ミュージアムはどんな感じ?[はまれぽ.com]
川崎市岡本太郎美術館 - Wikipedia
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